消えたスズメ

これからのこと、お店のこと、
消毒のこと、
友達のこと、
大好きだった人のこと、


いろいろなことを想う中で、

今週は、スズメを強く想う1日があった。


いつもの朝で、お店の中にいたら、

外にいたおばあさんが、少し開けているドアから見えて、

「ちょっと!」
と、突然、呼ばれた。

なにかと外に出てみると、
「ここ(店の前)に弱っているスズメがいるわよ!」
と言われた。

カゴに入れたり、動かさないと、猫に食べられたり、車にひかれると、おばあさんはとても気にしている。

すぐに運んであげなさいとも言われたけれど、
鳥やスズメは触っていけないと、昔に聞いた覚えがあるから、
触れなかった。

そしたら、通りすがりのおじいさんが、
そのスズメを、ヒョイっ!と、両手に包んで、

少し離れた、一番安全な草むらに、持っていってあげていた。


何も出来なかった私は、そのことがとても気になって、

せめて餌にパンをあげようと探したら、パンがなかったので、

お菓子のリッツを一枚持って、
草むらにいるスズメにあげた。


ちゃんと鉄網と、緑の芝生の草に守られていたスズメは、
あまり動かないながらも、目を閉じたり開けたり、パチパチさせている。

リッツのかけらを何度と投げて側に置いたけど、
全然、動かず、食べなかった。


お昼ごろになったので、あきらめて帰った。


30分くらい経った後、また見に行ったら、
姿かたちとも無くなって、
スズメは、もういなくなっていた。

お菓子のかけらも、1つもない。


瞬間、「あっ!飛べるようになったんだぁ!」
と思って、パーァっと、心のモヤが晴れたけれど、


しばらく時間が経って考えると・・・

「いや、違う、もしかしたら・・・」


と心が重たくなって、一日中、あのスズメが気にかかった。


消えたあのスズメは、どうなったんだろう・・・

私は、あのスズメに、
何をしてあげたら一番良かったんだろう?